リングスリーブと刻印のしくみ
リングスリーブは、電線どうしを1か所にまとめてつなぐための、小さな金属の筒です。電線の先を差し込み、専用の圧着工具でつぶして(圧着して)固定します。
圧着すると、スリーブに刻印(工具のダイスで押される小さな印)が付きます。スリーブの大きさと電線の組合せに合ったダイスで圧着すると、決まった刻印が付きます。だから、刻印を見れば正しく選んで圧着したかを確かめられます。
学科で覚えるのは、次の4つの組合せです。
| スリーブの大きさ | 刻印 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 小 | ○ | 1.6mm の電線2本だけ |
| 小 | 小 | 小スリーブで、○ 以外の組合せ |
| 中 | 中 | 中スリーブの組合せ |
| 大 | 大 | 大スリーブの組合せ |
注意したいのは、小スリーブには刻印が2種類あることです。同じ小スリーブでも、1.6mm の2本だけのときは「○」、それより多いときは「小」になります。
リングスリーブ用の圧着工具は、柄が黄色です。柄が赤色の圧着工具は、裸圧着端子・裸圧着スリーブ用で、リングスリーブには使いません。
組合せの表(1.6mm と 2.0mm)
VVF1.6・VVF2.0 のような、直径1.6mm と 2.0mm の電線の組合せは次のとおりです(メーカーが公表している組合せ表による)。
| スリーブ(刻印) | 1.6mm だけ | 2.0mm だけ | 2.0mm と 1.6mm を混ぜる |
|---|---|---|---|
| 小(○) | 2本 | — | — |
| 小(小) | 3〜4本 | 2本 | 2.0mm 1本+1.6mm 1〜2本 |
| 中(中) | 5〜6本 | 3〜4本 | 2.0mm 1本+1.6mm 3〜5本、2.0mm 2本+1.6mm 1〜3本、2.0mm 3本+1.6mm 1本 |
| 大(大) | 7本 | 5本 | 2.0mm 1本+1.6mm 6本、2.0mm 2本+1.6mm 4本 など |
この表をそのまま覚えるのは大変です。そこで、小と中の境目だけは、次の数え方で決められるようにします。
覚え方:2.0mm を「1.6mm の2本分」として数える
2.0mm の電線1本を、1.6mm の電線2本分として数えます。 そのうえで、1.6mm に直した本数で次のように決めます。
| 1.6mm に直した本数 | スリーブ(刻印) |
|---|---|
| 2本(1.6mm 2本だけのとき) | 小(○) |
| 3〜4本 | 小(小) |
| 5本以上 | 中(中)か大(大) |
表の組合せで確かめてみます。
- 2.0mm 2本 → 2本分×2=4本 → 小(小)
- 2.0mm 1本+1.6mm 2本 → 2+2=4本 → 小(小)
- 2.0mm 1本+1.6mm 3本 → 2+3=5本 → 中
- 2.0mm 2本+1.6mm 1本 → 4+1=5本 → 中
表にある1.6mm と 2.0mm の組合せでは、この数え方で、小と中の境目がすべて表のとおりに分かれます。「4本までが小、5本からが中」と覚えておけば、2.0mm が混ざっても迷いません。
これは表を覚えやすくするための数え方で、決まりそのものではありません。中と大の境目は、この数え方では決まらないので注意してください(たとえば 2.0mm 4本は中、2.0mm 1本+1.6mm 6本は大で、どちらも「8本分」になります)。大を使うのは本数がかなり多いときなので、そのときは表で確かめます。
小スリーブの刻印は「1.6mm 2本だけが ○」
小スリーブの刻印は、次の1行で決まります。
- 1.6mm の電線2本だけ → ○。それ以外の小スリーブ → 小
2.0mm が1本でも入れば、小スリーブでも刻印は「小」です。たとえば 2.0mm 1本+1.6mm 1本は、2本しかなくても「○」ではなく「小」になります。
逆向きの問いにも同じ考え方が使えます。点検で、小スリーブに「小」の刻印があったとします。正しく選ばれているなら、つながっている電線は 1.6mm 3〜4本、2.0mm 2本、2.0mm 1本+1.6mm 1〜2本のどれかで、「1.6mm 2本だけ」ではありません。
例題:ジョイントボックスの中のスリーブを数える
天井のジョイントボックスに、分電盤から VVF2.0-2C が入る。ボックスからは、照明ア・照明イへ各1本、それぞれを入り切りする片切スイッチア・イへ各1本、どれも VVF1.6-2C が出る。ボックスの中の接続をすべてリングスリーブで行う。
まず、ボックスの中の接続点ごとに、集まる電線を書き出します(スイッチは非接地側に入れ、接地側は照明に直接つなぐ。帰り線は照明ごとに1組)。
| 接続点 | 集まる電線 | 1.6mm に直すと | スリーブ(刻印) |
|---|---|---|---|
| 接地側 | 電源 2.0mm 1本+照明ア・イ 1.6mm 2本 | 2+2=4本 | 小(小) |
| 非接地側 | 電源 2.0mm 1本+スイッチア・イ 1.6mm 2本 | 2+2=4本 | 小(小) |
| アの帰り線 | 1.6mm 2本 | 2本だけ | 小(○) |
| イの帰り線 | 1.6mm 2本 | 2本だけ | 小(○) |
答えは、小スリーブ4個(刻印「小」2個・「○」2個)です。
では、このボックスから壁のコンセントへも VVF1.6-2C を1本出したらどうなるでしょう。コンセントはスイッチを通さず、電源の2本に直接つなぎます。接地側も非接地側も、1.6mm が1本ずつ増えて「2+3=5本」になり、**どちらも中スリーブ(刻印「中」)**に変わります。帰り線の2か所は変わらず小(○)です。
1本のケーブルを足しただけで、スリーブの大きさが変わります。だから、問題文のケーブルを1本ずつ数え、接続点ごとに表にする習慣をつけておきます。
間違えやすいところ
- 2.0mm を1本として数える:2.0mm は1.6mm の2本分。1本として数えると、小と中を取り違える
- 小スリーブの刻印を全部「小」にする:1.6mm 2本だけなら「○」
- 帰り線を接地側にまとめる:帰り線は照明ごとに別の接続点。本数の数え間違いの元になる
- 電線の太さを見落とす:問題文の「VVF2.0」「VVF1.6」の数字(電線の直径)に印をつけてから数える
電線の接続そのもののルール
リングスリーブで接続したあとは、接続部分を絶縁します(テープで巻くなど)。接続の決まりや施工方法の数字は、施工方法の科目で出ます。施工方法・検査方法の数字のまとめ方は「電工二種の接地工事の種類(C種・D種)と接地抵抗の値」や「電工二種の絶縁抵抗の値(0.1・0.2・0.4MΩ)と測り方」と同じで、表にして見比べるのが近道です。
まとめ
- 小スリーブの刻印は2種類。1.6mm 2本だけが「○」、それ以外は「小」
- 2.0mm を1.6mm の2本分として数え、4本までが小、5本からが中
- 中と大の境目はこの数え方では決まらないので、表で確かめる
- 圧着工具は柄が黄色のものを使う
リングスリーブの練習問題は第二種電気工事士(学科)の練習問題で解けます。試験の概要は第二種電気工事士(学科)のページで確認できます。