電工二種

電工二種の電圧降下の計算。単相2線・単相3線・三相3線の式の違い

電圧降下は「電線の抵抗で失う電圧」

電線にもわずかな抵抗があります。電流が流れると、その抵抗のぶんだけ電圧が下がります。これが電圧降下です。

負荷(照明や電動機など、電気を使う側)にかかる電圧は、次の式で決まります。

負荷の電圧 = 送り出しの電圧 - 電圧降下

同じように、電線の抵抗では電気が熱になって失われます。これが電力損失です。

学科では、配線の方式ごとの式の違いが問われます。覚える式は次の表の6つです。電線1本の抵抗を r、電線に流れる電流を I とします。

配線の方式 電圧降下 電力損失
単相2線式 2Ir 2I²r
単相3線式(両側の電流が等しいとき) Ir(100Vの負荷1つあたり) 2I²r
三相3線式 √3Ir(線間電圧の低下) 3I²r

式を丸暗記するより、どの電線に電流が流れているかを考えると、取り違えが減ります。以下、方式ごとに理由を見ていきます。

単相2線式:行きと帰りの2本で「2倍」

単相2線式は、電流が行きの電線を通って負荷へ行き、帰りの電線で戻ってきます。2本どちらにも同じ電流 I が流れるので、1本ぶんの Ir が2本ぶんで 2Ir です。電力損失も、1本で I²r が2本ぶんで 2I²r になります。

例題1

送り出しの電圧105V、単相2線式の配線で15Aが流れている。電線1本の抵抗は0.2Ω。負荷の電圧と、配線の電力損失は?

  • 電圧降下:2×15×0.2=6V
  • 負荷の電圧:105-6=99V
  • 電力損失:2×15²×0.2=90W

いちばん多い間違いは、2倍を忘れて1本ぶんだけ計算することです。この例なら、電圧降下を3V、電力損失を45Wとしてしまいます。

単相3線式:両側がつり合えば中性線は0A

単相3線式(100/200V)は、外側の2本と真ん中の中性線の3本で送ります。中性線をはさんで、両側に100Vの負荷がつながります。

ポイントは、中性線には両側の電流の「差」が流れることです。両側の電流が等しい(平衡という)と、差は0なので、中性線には電流が流れません。

平衡のとき:電圧降下は Ir

中性線に電流が流れないので、中性線では電圧が下がりません。100Vの負荷1つあたりの電圧降下は、外側の電線1本ぶんの Ir だけです。電力損失は、電流が流れる外側の2本ぶんで 2I²r です(3本それぞれの「その線の電流²×抵抗」を足したもの)。

例題2:2線式と3線式を比べる

100V・3kW(力率1)の負荷を送る。電線1本の抵抗はどれも0.1Ω。①単相2線式で1回路で送る。②単相3線式で、中性線の両側に1.5kWずつ分けて送る。100Vの負荷1つあたりの電圧降下は?

  • ①:電流は 3,000÷100=30A。電圧降下は 2×30×0.1=6V
  • ②:両側の電流はそれぞれ 1,500÷100=15A で平衡。電圧降下は 15×0.1=1.5V

②は①の1/4です。電流が半分になり、さらに中性線で電圧が下がらないからです。電力損失も、①は 2×30²×0.1=180W、②は 2×15²×0.1=45W で、やはり1/4になります。

不平衡のとき:大きい側は下がり、小さい側は上がる

両側の電流が違う(不平衡)と、中性線に差の電流が流れ、中性線でも電圧が下がります。このとき、電流の大きい側の負荷の電圧はさらに下がり、小さい側の負荷の電圧は上がります。

送り出しの電圧は両側とも105V。A側に20A、B側に10Aの100V負荷(どちらも抵抗負荷)。電線1本の抵抗はどれも0.1Ω。

  • 中性線の電流:20-10=10A。中性線での電圧降下は 10×0.1=1V
  • A側(電流が大きい):105-20×0.1-1=102V
  • B側(電流が小さい):105-10×0.1+1=105V

B側で「中性線の1Vも引いてしまう」のが典型の誤りです。符号の向きは「大きい側は引く、小さい側は足す」と覚えます。

三相3線式:電圧降下は√3倍、電力損失は3倍

三相3線式では、3本の電線のどれにも線電流 I が流れます。

  • 電力損失:1本ごとに I²r の熱が出て、3本ぶんで 3I²r
  • 電圧降下:線間電圧(電線と電線の間の電圧)の低下は √3Ir(√3 は約1.73)

学科では、√3(約1.73)を掛ける式として覚えておけば足ります。

例題3

三相3線式で、線電流25A、電線1本の抵抗0.08Ω。電圧降下と電力損失は?

  • 電圧降下:1.73×25×0.08≒3.5V
  • 電力損失:3×25²×0.08=150W

ここでの取り違えは、次の2つが多くなります。

  • 電圧降下を 3Ir にする(電力損失の「3」とまぜている)
  • 電力損失を √3I²r にする(電圧降下の「√3」とまぜている)

「電圧降下は√3、電力損失は3」と、組で覚えます。

3つを並べて覚える

方式 電流が流れる電線 電圧降下 電力損失
単相2線式 2本 2Ir 2I²r
単相3線式(平衡) 外側の2本(中性線は0A) Ir 2I²r
三相3線式 3本 √3Ir 3I²r

電力損失は、どの方式でも「電流が流れる電線の本数 × I²r」です。迷ったら、まず電流が流れている電線を数えます。

解くときは、次の順で進めます。

  1. 問題文から、配線の方式(単相2線式・単相3線式・三相3線式)を確かめる
  2. 単相3線式なら、両側の電流が等しいか(平衡か)を確かめる
  3. 求めるのが電圧降下か電力損失かを確かめ、表の式に入れる
  4. 負荷の電圧を聞かれたら、送り出しの電圧から電圧降下を引く

電線の太さ・長さと電流が同じなら、単相2線式から三相3線式に変えると、電圧降下は 2Ir から √3Ir に変わり、少し小さくなります。比べる問題では、この式の違いをそのまま使います。

計算が苦手な人は、どこまでやるか

単相2線式の 2Ir・2I²r は、式1つで解ける形です。ここはまず拾いたいところです。単相3線式の不平衡や三相は、慣れるまで時間がかかります。本番で手が止まったら後回しにしてかまいません。どの計算を拾い、どれを後回しにするかは「電工二種の計算問題は捨てていい?」で整理しています。

まとめ

  • 電圧降下:単相2線式 2Ir、単相3線式(平衡)Ir、三相3線式 √3Ir
  • 電力損失:単相2線式 2I²r、単相3線式(平衡)2I²r、三相3線式 3I²r
  • 単相3線式の中性線には両側の電流の差が流れる。不平衡なら、大きい側は電圧が下がり、小さい側は上がる
  • 迷ったら「電流が流れている電線は何本か」から考える

誤りの選択肢を使った問題の解き直し方は「電工二種の過去問の使い方」で、試験の概要は第二種電気工事士(学科)のページで確認できます。

電工二種の練習問題を解く