学科で複線図が要るのは「本数」と「接続」を問われたとき
配線図は、ふつう1本の線で器具どうしのつながりを示します(単線図)。でも実際の電線は、1本のケーブルの中に2本や3本入っています。この「実際に何本の電線が、どうつながるか」を書き出した図が複線図です。
学科の配線図の問題では、次のような問いで複線図が役に立ちます。
- ジョイントボックス(電線をつなぐ箱)と器具の間に、電線は最少で何本要るか
- ジョイントボックスの中で、電線を何か所でつなぐか
- その接続に使うリングスリーブや差込形コネクタはどれか
技能試験のようにきれいに描く必要はありません。学科では、余白に線を書いて本数を数えられれば十分です。
まず覚える4つの線
複線図に出てくる線は、次の4つだけです。
| 線の名前 | ひとことで言うと | どこへ行くか |
|---|---|---|
| 接地側 | 大地につないである側の線 | 照明とコンセントへ直接。スイッチには行かない |
| 非接地側(黒) | 大地との間に電圧がある側の線 | スイッチとコンセントへ |
| 帰り線 | スイッチを通って照明へ戻る線 | スイッチから照明へ |
| 渡り線 | 3路・4路スイッチどうしをつなぐ線 | スイッチからスイッチへ(2本1組) |
いちばん大事な約束は、スイッチは非接地側に入れ、接地側は照明に直接つなぐことです。スイッチは、照明へ行く線だけを入り切りします。
もう1つ、コンセントはスイッチを通さず、電源の2本(非接地側と接地側)に直接つなぐことも押さえます。だから、照明のスイッチを切ってもコンセントは使えます。次のジョイントボックスへ電源を送る線(送り)も同じで、2本とも電源につなぎます。
スイッチの端子の数を知っておく
スイッチにつながる電線の本数は、スイッチの端子(電線をつなぐ口)の数から考えるとわかりやすくなります。
| スイッチ | 端子の数 | 働き |
|---|---|---|
| 片切スイッチ | 2つ | 1本の電線を入り切りする |
| 3路スイッチ | 3つ(0・1・3) | 0 を 1 か 3 のどちらかにつなぎかえる |
| 4路スイッチ | 4つ | つながりを入れ替える |
スイッチどうしを直接つなぐケーブルがなく、接続をすべてジョイントボックスの中で行う場合は、端子の数だけ電線がスイッチとボックスの間を通ります。
複線図の6つの手順
- 器具を並べる:電源、ジョイントボックス、照明、スイッチ、コンセントを、単線図と同じ位置に書く
- 接地側を引く:電源の接地側から、照明とコンセント(と送り)へ線を引く
- 非接地側を引く:電源の非接地側から、スイッチとコンセント(と送り)へ線を引く
- 帰り線を引く:スイッチから、そのスイッチで点ける照明へ線を引く
- 渡り線を引く:3路・4路スイッチがあれば、スイッチどうしを2本ずつつなぐ
- 数える:ジョイントボックスの中で同じ線どうしが集まる所を接続点として丸で囲み、ボックスと器具の間を通る本数を数える
接地側と非接地側を先に全部引いてから、帰り線と渡り線を足すのがコツです。順番を混ぜると、接地側をスイッチに通すなどの間違いが起きやすくなります。
例1:照明2灯をそれぞれのスイッチで入り切りする
天井のジョイントボックスに電源が来ている。ボックスから、照明ア・照明イ、それぞれを入り切りする別々の場所の片切スイッチア・イ、壁のコンセントへ、1本ずつケーブルを出す。
手順どおりに引くと、ボックスの中の接続点は次の4か所になります。
| 接続点 | 集まる電線 | 本数 |
|---|---|---|
| 接地側 | 電源・照明ア・照明イ・コンセント | 4本 |
| 非接地側 | 電源・スイッチア・スイッチイ・コンセント | 4本 |
| アの帰り線 | スイッチア・照明ア | 2本 |
| イの帰り線 | スイッチイ・照明イ | 2本 |
帰り線は、照明ごとに1組つなぎます。照明が2つで、それぞれ別のスイッチなら、帰り線の接続点も2つです。
ボックスと器具の間は、どれも2本です。照明へは「接地側+帰り線」、スイッチへは「非接地側+帰り線」、コンセントへは「非接地側+接地側」が通ります。
例2:1つのスイッチで2灯を同時に点ける
1つのスイッチで2灯を同時に点けるときは、スイッチから来た帰り線を2灯に分けます。帰り線の接続点には「スイッチ・照明1・照明2」の3本が集まります。接地側の接続点も「電源・照明1・照明2」の3本です。
差込形コネクタで接続するときは、集まる本数に合ったもの(2本用・3本用・4本用など)を選びます。接続点ごとの本数を表にしておけば、コネクタの数もそのまま答えられます。
例3:3か所から1灯を点滅する(3路・4路)
長い廊下の照明1灯を、端のスイッチイ(3路)、中ほどのスイッチロ(4路)、反対の端のスイッチハ(3路)の3か所から点滅する。接続はすべて天井のジョイントボックスの中で行い、電源の非接地側はイに送る。
3か所以上から点滅するときは、両端に3路スイッチ、その間に4路スイッチを入れます。4路スイッチには、入ってくる渡り線2本と、出ていく渡り線2本がつながります。
| ボックスとの間 | 通る線 | 本数 |
|---|---|---|
| スイッチイ(3路) | 非接地側1本+渡り線2本 | 3本 |
| スイッチロ(4路) | イからの渡り線2本+ハへの渡り線2本 | 4本 |
| スイッチハ(3路) | 渡り線2本+帰り線1本 | 3本 |
| 照明 | 接地側1本+帰り線1本 | 2本 |
3路スイッチは端子が3つなので、ボックスとの間は3本。4路スイッチは端子が4つなので4本。端子の数と本数がそろうことを確かめると、数え間違いに気づけます。
よくある間違い
- 接地側をスイッチに通す:スイッチは非接地側に入れる。接地側は照明に直接
- コンセントをスイッチの先につなぐ:コンセントはスイッチを通さず、電源の2本に直接
- 送りを忘れる:次のボックスへ電源を送るケーブルがあれば、接地側・非接地側の接続点がそれぞれ1本ずつ増える
- 帰り線をまとめてしまう:別々のスイッチで点ける照明は、帰り線の接続点も別々
- 渡り線を1本と数える:渡り線は2本1組
本数がわかれば、接続材料の問題にもつながる
接続点ごとの本数がわかれば、その接続に使うリングスリーブや差込形コネクタを選ぶ問題にもそのまま進めます。電線の太さ(1.6mm か 2.0mm か)も書き込んでおくと、リングスリーブの大きさと刻印を決めるときに使えます。
配線図は、図記号を覚えれば点になる問題と、複線図で数える問題の両方があります。どちらも計算より取りかかりやすいので、学科の勉強では先に固めておきたい科目です。科目の順番は「第二種電気工事士の学科は参考書なしで受かる?」で、配点から決める計画は「第二種電気工事士の学科の勉強時間と進め方」で紹介しています。
まとめ
- 複線図の線は4つ:接地側・非接地側・帰り線・渡り線
- スイッチは非接地側に入れ、接地側は照明に直接。コンセントはスイッチを通さない
- 接地側と非接地側を先に全部引き、あとから帰り線と渡り線を足す
- 片切は2本、3路は3本、4路は4本(接続をすべてボックスの中で行うとき)
電線の本数を問う練習問題は第二種電気工事士(学科)の練習問題で解けます。試験の概要は第二種電気工事士(学科)のページで確認できます。