名前と形より「作業の順番」で覚える
工具や材料の名前と使い道を問う問題は、「鑑別(かんべつ)」とも呼ばれます。現場で使ったことがあれば一瞬で答えられますが、使ったことがない人には、似た名前と形が多くて混ざりやすい単元です。
そこでこの記事では、写真の形ではなく、何の工事で、どの順番で、何をするための物かで並べます。作業の流れに沿って覚えると、1つを思い出せば前後の工具もついてきます。
形は、問題を解いたあとに写真や実物で一度確かめておくと安心です。この記事は、その前に「どの棚にしまうか」を決めるためのものです。
金属管工事の工具と材料
金属管工事は、電線を金属の管に入れて守る工事です。おおまかな作業の流れに並べると、使う工具と材料がつながって見えてきます(実際の順番は現場によって前後します)。
| 順番 | やること | 工具・材料 |
|---|---|---|
| 1 | 管を押さえる | パイプバイス(管を固定する) |
| 2 | 管を切る | 金切りのこ、パイプカッタ |
| 3 | 切り口を整える | リーマ(切り口の内側のばりを取る) |
| 4 | 管を曲げる | パイプベンダ |
| 5 | 管にねじを切る | パイプねじ切り器 |
| 6 | 管どうしをつなぐ | カップリング |
| 7 | 管をボックスに固定する | ロックナット |
| 8 | 管の端で電線を守る | ブッシング(電線の被覆を傷めないようにする) |
| 9 | 管を壁や天井に留める | サドル |
リーマは「ばり(切ったあとの切り口に残る、とがった部分)を取る」工具です。切る(2)と整える(3)はセットで覚えます。
ねじなし電線管では「ねじを切らない」
金属管の中には、ねじを切らずに使うねじなし電線管があります。ねじなし電線管は、ねじなしカップリングやねじなしボックスコネクタに差し込み、止めねじを締めて固定します。
だから、ねじなし電線管の工事では、5番のパイプねじ切り器は使いません。「ねじなし電線管の工事で使わない工具は?」と問われたら、ねじ切り器を真っ先に疑います。切る・ばりを取る・曲げる工具は、ねじなし電線管でも使います。
合成樹脂管工事の工具
合成樹脂管工事は、電線をプラスチックの管に入れる工事です。金属管と同じ「切る・曲げる」でも、使う工具が変わります。
| やること | 金属管 | 硬質ポリ塩化ビニル電線管(VE管) |
|---|---|---|
| 切る | 金切りのこ、パイプカッタ | 合成樹脂管用カッタ |
| 曲げる | パイプベンダ | トーチランプ(管を温めて曲げる) |
トーチランプは「火を使う工具」なので、金属管の工具と取り違えやすいところです。樹脂の管は温めると柔らかくなるので曲げられる、と理由で覚えます。金属管を曲げるのはパイプベンダです。
穴をあける工具
ボックスや分電盤に管を通すには、穴をあけます。ここで迷いやすいのが次の2つです。
| 工具 | どうやって穴をあけるか | 何にあけるか |
|---|---|---|
| ノックアウトパンチャ | 打ち抜く | 鋼板に、電線管用の丸い穴 |
| ホルソ | 電気ドリルに付けて回す | 木材や金属板に、丸い穴 |
どちらも丸い穴をあける工具ですが、**ノックアウトパンチャは「打ち抜く」、ホルソは「電気ドリルに付けて回す」**と、あけ方で分けます。名前の「パンチ」が打ち抜く、と結びつけると覚えやすくなります。
電線を通す・つなぐ工具
管に電線を通す:呼び線挿入器
管に電線を通すときに使う工具です。「管の作業」の仲間ですが、切ったり曲げたりするのではなく、管ができたあとに電線を入れる段階で使う、と流れの中の位置で覚えます。
被覆をはぐ:ワイヤストリッパ
電線の被覆(外側のビニル)をはぎ取る工具です。接続の前に、心線(中の銅線)を出すために使います。
電線どうしをつなぐ:リングスリーブ用圧着工具
リングスリーブ(電線をまとめる金属の筒)を圧着する工具は、柄が黄色です。スリーブの大きさに合ったダイスで圧着すると、○・小・中・大の刻印が付きます。
柄が赤色の圧着工具は、裸圧着端子・裸圧着スリーブ用で、リングスリーブには使いません。形がよく似ているので、色で分けて覚えます。
電線のたるみを取る工具:張線器
張線器は、電線を引っ張ってたるみを取る工具です。ほかの工具と違って、管やボックスの作業ではなく、張った電線の作業に使う点が特徴です。
似た工具の見分け方のまとめ
| 迷う組 | 見分けるポイント |
|---|---|
| パイプカッタ/合成樹脂管用カッタ | 切る管が金属か、樹脂か |
| パイプベンダ/トーチランプ | 金属管を曲げるか、樹脂の管を温めて曲げるか |
| ノックアウトパンチャ/ホルソ | 打ち抜くか、電気ドリルに付けて回すか |
| リーマ/パイプねじ切り器 | ばりを取るか、ねじを切るか(ねじなし電線管ではねじ切り器を使わない) |
| ロックナット/カップリング | 管とボックスを固定するか、管どうしをつなぐか |
| 圧着工具(黄)/圧着工具(赤) | リングスリーブ用か、裸圧着端子・裸圧着スリーブ用か |
覚えるときのコツ
1. 「この作業の次は?」で思い出す
1つの工具を覚えたら、その前と後の作業も一緒に言えるようにします。「切る → ばりを取る → 曲げる」と流れで言えれば、選択肢に知らない名前が混ざっても、作業の順番から消していけます。
2. 「使わない工具」の問いに備える
工具の問題は「この作業で使わないものはどれか」という形でも問われます。資格転生の問題でも、ねじなし電線管の工事で使わない工具を選ぶ問題を出しています。工具ごとに「どの工事では使わないか」も1行で言えるようにしておくと、こうした問いに強くなります。
3. 間違えたら「何と取り違えたか」を書く
間違えたときは、上の「迷う組」のどれを取り違えたかを1行で書いておきます。取り違える組は人によって偏りがあるので、自分の組だけを繰り返せば短い時間で済みます。
鑑別は暗記の科目の中でも点にしやすい
工具・材料は、計算がいらず、覚えたぶんが点になる単元です。配線図や施工方法の問題でも、「この場所の工事で使う工具はどれか」という形で顔を出します。暗記の科目から固める進め方は「第二種電気工事士の学科は参考書なしで受かる?」で、配点から決める計画は「第二種電気工事士の学科の勉強時間と進め方」で紹介しています。
まとめ
- 工具・材料は、形より「何の工事で、何をするための物か」で覚える
- 金属管工事は「押さえる → 切る → ばりを取る → 曲げる → ねじを切る → つなぐ → 固定する」の順
- ねじなし電線管では、パイプねじ切り器を使わない
- 樹脂の管は、合成樹脂管用カッタで切り、トーチランプで温めて曲げる
- リングスリーブ用の圧着工具は柄が黄色
工具・材料の練習問題は第二種電気工事士(学科)の練習問題で解けます。試験の概要は第二種電気工事士(学科)のページで確認できます。